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譲渡制限株式の会社等による買取り
株主は、株式を自由に譲渡できるのが原則です(株式譲渡自由の原則。会社法127条)。
他方で、会社は、株主が自己の株式を第三者に譲渡するには会社の承認を得なければならないという決まりを定款に定めることができます(会社法2条17号)。会社にとって、見ず知らずの第三者が株主として参入してくることを防ぐためですね。多くの中小の会社ではこのような譲渡制限がかかっています。
しかし、譲渡制限がある場合でも、株式譲渡自由の原則の趣旨である株主の投下資本の回収の利益を無視していいわけではありません。そこで会社法では、会社は、株主の第三者への株式譲渡を承認しない場合には、自らその株式を買い取るか、参入してきても問題ない者(代表者個人やその関係者など)を買取人として指定することができるとされています(会社法140)。
この仕組みのもとでは、株主は、株式の買主として名乗りを上げてもらえる第三者を探し出すことに成功すれば、その第三者への譲渡が承認されれば結構ですし、仮に承認されなくても、最終的には会社又は会社の指定する者に株式を譲渡できるということになります。
会社等が買い取る場合にも、売買価格は原則として両者の協議で決めることとされていますが、合意ができない場合には、裁判所に決めてもらうことができます(株式売買価格決定申立事件。会社法144条2項)。
こうして、譲渡制限株式も最終的には適正な価格で売却することができるという仕組みになっています。この仕組みを図にしたものが添付のものです。ご参照ください。
(図)譲渡制限株式を会社が買い取る場合 (図)譲渡制限株式を指定買取人が買い取る場合
(本記事は、くれたけ法律事務所公式サイトの2023年7月31日の「少数株主の株式買取請求」の記事を下敷きにしています。https://www.kuretakelaw.com/news/1276)