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会社の自己株式取得手続に乗る(ミニ公開買付け)
会社の自己株式取得の手続に乗る
株主が会社に株式を買い取ってもらう方法の一つに、会社の自己株式取得の手続に乗る方法があります。
会社は、一定の手続のもと[1]、株主との合意により株式を買い取ることができます(会社法156条以下)。合意による自己株式の取得です。
では、どんな手続が必要なのでしょうか。
売りたいと思う株主がいて、会社はその株主から買い取るだけのことですので、一見、簡単な方法のように見えますが、実はそう単純な話ではありません。
仮に一部の株主からしか買い取らないとすれば、その株主以外にも株式を買い取ってもらいたいと思っている株主がいた場合に、株主間で不公平が生じてしまうからです。
会社法は、株主平等の原則から、このような不公平が生じないように、合意による自己株式の取得にはやや重たい手続を設けているのです。その手続を具体的に見ていきましょう。
ミニ公開買付けの方法
全ての株主に買い取ってもらう機会を保障すれば、株主間で不公平が生じることはありませんね。そこで、会社法は、株主全員[2]に対して買い取ってもらう機会を与える手続を原則としています。
具体的には、会社は、予め株主総会普通決議で定めた取得枠の範囲内で(156条1項)、
- 取得する株式数
- 1株の対価
- 対価の総額
- 譲渡の申込期日
を決めて、自己株式取得の決定をします(157条)。
そして、その事項を株主全員に対し通知します(158条1項)。これを受けて、希望する株主が会社に株式譲渡の申込みをすると(159条1項)、その株主との間で、譲渡の申込期日に会社との間で株式の売買契約が成立することとなるのです(159条1項)。株主は、会社によるこの自己株式取得の手続に乗って、会社の決めた価格で株式を買い取ってもらうことができるのです。この方法は、金融商品取引法上の公開買付けの簡略版として「ミニ公開買付け」と呼ばれています。
この仕組みを図にしましたので、参考にしてください。
[1] 財源規制もありますが、機会を改めて説明します。
[2] 種類株式取得の場合はその種類株主全員。以下同じ。